「大丈夫大丈夫!

こんくらい洗えば平気だろ」


「ほんとにー?痛そうだよ~。

誰か絆創膏持ってないの?」


「ごめん、教室にならあるけど、今は持ってないや」


その言葉を聞いて、ハッとする。


……どうしよう。私、絆創膏持ってる。


子供のころからよく転んで怪我をする私は、いつでもどこでも絆創膏を持ち歩くのが癖になっていて、体育の時ですら、いつも体操服のポケットにそれを忍ばせていた。


だからべつに、今、渡そうと思えば渡せる。


でも……今さら彼に話しかけることなんて、できるわけがない。


そもそも私、同じクラスでもないし、普段関わりもないし、そんな私がいきなり絆創膏をあげたりしたらおかしいよね。


なんて悩んでいたら、


「おい碧空っ、血がたれてるぜ!」


「ゲッ、ちょっと水道行って洗ってくるわ」