秘密の陰陽師 【壱】





リンリンリンリン…



鈴の音がして目を覚ますと携帯のアラームがなっていた





もう1時か…



そろそろ見回りを始めなきゃ






私はもう一度狩衣に袖を通し、何枚かの霊符を持ち家を出る。








外は涼しい風が吹き心地よかった。














ーーー その時






指先にビリッと妖気が走った










目を閉じて心を冷静にする






陰陽師にとって心を冷静にすると言うことは生命にも関わるほど大切なこと





目を閉じ、微かな妖気を辿りながらその方向に足を進める






「ここか…」








着いたのは家から少し離れた小さな公園だった





なんて言うか夜の公園って…




気味悪いな…









早く終わらせちゃおう






そう思って足を1足踏み入れると全身に妖気が駆け巡り、とっさに印を組み構えた。









「そなた一ノ瀬の人間か」






私の目の前に現れたのは鬼の妖怪だった







「だったらなに?」








「そんなに睨むでない。
我はお前を見にきただけなのだ。」







「私を?」







「そうだ。思ったよりいい女だ。
いい匂いがする」







ゾクッッッッ







何この人…気持ちわる…





ニヤニヤとあたしの体を舐め回すようにみるそいつは気持ち悪くて仕方なかった






「こんな玉物がいたとはな…
あのお方が気にいるわけだ。」




あの方?






訳のわからないことを言っている鬼の妖を睨む。