入りたい。 けど、入れないの。 「あの噂、本当だったんだな」 「気味悪ぃよな」 教室からうるさいくらい飛び交っている毒のある会話が、また聞こえてきて、奥歯を噛んだ。 皆瀬くんはその会話で全てを察して、震えるわたしに目を向ける。 教室に入らないと、いけないのに。 踏み出せない。 誰か、頑張り方を、教えて。 「矢崎さん」 皆瀬くんが、再度わたしの名を呼んだ。 ゆらり、と皆瀬くんのほうへ濡れた瞳をずらす。 「サボっちゃおっか」 「え……?」