四月上旬。 また、春が来た。 窓から、太陽の光がこぼれる。 その光を拒むかのように、ごろんと寝返りを打った。 『莉子』 名前を呼ばれた気がして、「んんー」と唸りを上げる。 『もう朝よ。起きなさい』 この声は、お母さん? え?どうして? うまく働かない思考回路で、考えてみる。 ……あぁ、そうか。 これは、夢なんだ。 だから、お母さんの声が聞こえるんだ。 なんていい夢なんだろう。