まさか、 “あのときの少年”って――。 「莉子ちゃん」 おばあちゃんに声をかけられ、我に返る。 「な、なに?」 「そろそろ学校に行かなくていいのかい?」 そう言われて、時計に視線を移す。 時刻はすでに、昼休みも後半に差し掛かった時間帯だった。 や、やばい! もう行かなくちゃ! 急いでカバンを取りに居間を出ようとして、扉の前で立ち止まった。 「ねぇ、おばあちゃん」 「ん?」 「この写真、もらってもいい?」 おばあちゃんは笑顔で「いいよ」と返した。