翌朝。 最初は、挨拶もやめようとも思った。 だけど、挨拶は友達じゃなくてもするものだ。 そう開き直って、環くんに声をかけた。 「おはよう、環くん」 「おはよ」 その日、環くんがわたしの名前を呼ぶことはなかった。 拡がっていく距離にすがろうとしては、引き離される。 環くんとの思い出にまで、苦痛が侵食していった。 一日、一日。 日を重ねるたびに、環くんは遠ざかる。 挨拶をしたら、返してくれる。 名前を呼んだら、応えてくれる。 優しい、のに。 ひどく冷たく感じるんだ。