どんな君でも、愛おしくてたまらない。




こちらに引っ越してきて、まだたった二週間。



ああやって、コソコソ言われるのは何度目だろう。


数えきれないほど、言われてるような気がする。



誰がこの噂を流したのか、


いつ、どこで、わたしの秘密を知ったのか、


あっという間に町全体に知れ渡ってしまった噂を、どうしたら消せるのか、



何も、わからない。

誰も、教えてはくれない。



おばさんたちの話をこれ以上聞きたくなくて、無意識に早足になっていた。





学校に着いても、居心地の悪さはなくならない。


むしろ、学校のほうが居心地悪く感じる。



わたしが教室に入ると、決まって一瞬しん……と静まり返る。


嫌な沈黙だ。


わたしは沈黙を気にしないフリをしながら、廊下側の一番うしろにある自分の席に座った。



だんだんと沈黙が消えていき、クラスメイトは小さな声量で再びしゃべり始める。



わたしに挨拶をしてくれる人は、いるわけがない。


クラスメイトは、変な尾ひれのついた噂を当然知っているのだから。