髪を乾かし終え、ついに依世ちゃんがハサミを持った。 「本当にいいんだね?」 「うん」 「バッサリ切るよ?」 「お願い!」 わたしはそう託して、目を瞑った。 ジャキジャキ、ハサミが長い前髪を切っていく音が、耳の奥を通る。 パラパラ、切られた髪が落ちていく。 うっすら瞼を持ち上げると、景色がクリアに広がった。 「どう?短い前髪は」 「……軽くなった気がする」 心も体も、全部。 重たい荷物を下ろしたみたいに、軽い。 すっきりした、新鮮な気分だ。