いつの間にか空になっていたらしい缶ビールと、紗弥が食べ終えたどんぶりを持ち、相島は立ち上がった。
「…声聞くだけにしときゃよかった。」
「え?」
「そしたらこんなだせー自分を見せなくて済んだのにな。」
「ださくないよ。…私は、嬉しいし。って洗い物する!私やるよ!」
「いい。お前は歯でも磨いてろ。」
「え~!」
「こっち来たらキスするからな。」
「えっ!だ、だめだ!ラーメン臭いもん!歯磨きしてくる!」
紗弥は洗面所へと向かった。その足音を聞いて、相島は水道の蛇口を捻った。
「…言うと思った。」
キスしようと距離を近付けたら、ラーメン臭いからと拒否する未来が見えていた。
「…歯磨きした後なら、いいよな?」
ビールの味がするキスで、顔をしかめられてしまうかもしれない。
(とっとと洗い物を終えて、俺も歯磨きしよ。)
かっこつかない自分を見られてしまっている今日なら、もうどうなってもいい気がした。気持ちがあらぬ方向に振れて疲れた。だからこそ、心を揺さぶった張本人に癒してもらいたい。
相島はそんな勝手な理由をつけて、その理由を正当なものだと信じていることにした。
(…たまには、いいよな?)
「…声聞くだけにしときゃよかった。」
「え?」
「そしたらこんなだせー自分を見せなくて済んだのにな。」
「ださくないよ。…私は、嬉しいし。って洗い物する!私やるよ!」
「いい。お前は歯でも磨いてろ。」
「え~!」
「こっち来たらキスするからな。」
「えっ!だ、だめだ!ラーメン臭いもん!歯磨きしてくる!」
紗弥は洗面所へと向かった。その足音を聞いて、相島は水道の蛇口を捻った。
「…言うと思った。」
キスしようと距離を近付けたら、ラーメン臭いからと拒否する未来が見えていた。
「…歯磨きした後なら、いいよな?」
ビールの味がするキスで、顔をしかめられてしまうかもしれない。
(とっとと洗い物を終えて、俺も歯磨きしよ。)
かっこつかない自分を見られてしまっている今日なら、もうどうなってもいい気がした。気持ちがあらぬ方向に振れて疲れた。だからこそ、心を揺さぶった張本人に癒してもらいたい。
相島はそんな勝手な理由をつけて、その理由を正当なものだと信じていることにした。
(…たまには、いいよな?)



