「…松山くんを好き…みたいに見えた…のかな?だとしたら私…相当遊んでる女みたいに見えてたってこと…?」
「…じゃねーけど…なんつーか、いや…全面的に俺が悪い。」
「はっきり言って!今隠したでしょ!」
「…だせーんだって。」
「ださくてもなんでもいいから言って!」

 相島は頭をかいた。言いにくそうだ。はぁと深いため息を落としてから、相島はそっと口を開いた。

「…距離ちけーし、いや、仕方ないってわかってて言ってるけど、あとあいつも懐きすぎだし、挙句二人っきりで飲み行くんだろ?」
「だってそれは、二人でやったプロジェクトだったから…一緒に行く?」
「そこで俺が入るのぜってー変だし。」
「まぁそうなんだけど…。」
「んで、部長くるとデレデレすんじゃん。」
「デレデレ!?」

 そんなワードが相島の口から出るなんて、思ってもみなかった。紗弥は目を丸くした。

「部長、めちゃくちゃいい人だし、仕事もできるし、信頼されてるし…わかるけど。」
「部長のこと好きだけど、それは尊敬って意味だし…。」
「だから勝手に嫉妬した俺が全面的に悪いって言ってんじゃん。」
「…悪く、は…ないけど、ね。」

 最後の麺を食べ終えた。紗弥は箸を置いて、指で相島の頬をつついた。

「今日、来てよかったなぁ。こんなレアな昴くんの顔が見れちゃった。」

 拗ねたような、照れたような表情。少し頬が赤いのは、絶対にアルコールのせいじゃない。(飲んでも飲んでも顔に変化がないタイプだし。)