「んで、仕事どんくらいたまってんだよ。」
「人聞きの悪い!自分の分じゃないよ、これ。」
「んなこたぁ知ってんだよ。お前が定時に自分のノルマ終わってないわけあるか。」

 この信頼が、実は少しだけ嬉しい。ただ、会社というものはノルマが終わればはい終了というわけではない。できる人のところにたくさんの仕事が流れていくようにできている。相島ももちろんそのクチだし、紗弥の方もそうである。

「あー…あのくそつかえねーやつの分か。」
「言葉遣い。」
「どうせ俺らしかいねーし。手伝うか?」
「大丈夫。あとちょっとだし。…これ飲んで当分チャージする。」
「あっそ。あと何分?」
「15分以内。」
「メシ行くか。」
「場所による。」
「駅近。」
「行く。」
「即答かよ。」
「だってお腹減ったもん。」
「ラーメン、うどん、パスタ…あとは何だ?」
「ラーメン!」
「15分以内に終わらなかったらお前の奢りな?」
「…プレミアムフライデーなのに?」
「いや、それお互い様だから。つーかこの時間に仕事してる時点で俺らにプレミアムフライデーとかねーから。」
「…そうでした。絶対15分以内に終わらせる!」
「せーぜー頑張りな。」

 この余裕が憎いときと、そうではないときがある。
 でも、プレミアムなフライデーならキャラメルマキアート一つで頑張れる。そんな夜もある。