相島の手が、紗弥の頭を抱く。相島の匂いが強くなる。
「出かけるのが嫌ってわけじゃねーからな?」
「…うん。」
そんなの、紗弥にだってちゃんとわかっている。牧場で楽しそうに動物と触れ合っていたのは相島だ。それに、意外と動物に好かれる性質の持ち主であるということも新発見だった。
「普段やってくれねーこと、平気ですんじゃん、お前。」
「普段やらないこと?そんなことしたっけ…?」
「菓子、食わせてくれたり。」
「え!?あ、だってあれは相島さん、手がふさがってたし!助手席の人の仕事でしょ?」
「あんな躊躇なく出されるとは思わなかったわ!つーか普段、家ですら色々照れてやってくんねーのに。」
ドライブ中に食べようと思って買っていたポッキーを、何度か食べさせたことを言っているのだろう。確かに躊躇なく差し出した。しかし、相島だって躊躇なく食べていたではないか。
「…相島さん、普通に食べてたじゃん。」
「お前が普通に出してきたからな!」
「手だって普通に握って…。」
「食べさせるより手握る方がハードル低くね?」
「そんなこと…ない!」
そんなことはない。手を繋ぎたい、と言って『外では嫌だ。そんなことしたがる人だと思わなかった』なんてことを元カレに言われたことは一度じゃない。
紗弥の声色の変化に気付いたのか、相島はゆっくりと紗弥の身体を放す。行き場を失った紗弥の両手を、相島の大きな両手が包み込んだ。
「…なに?」
紗弥は俯いた。目線の先には相島の手に包まれた自分の手がある。
「…相島さんが、前の人たちと違いすぎて、…嬉しいことが多すぎる…。」
「はぁ?」
「手も、…そんな簡単に繋げるものじゃなかったから。」
「ほんっと、お前は男の趣味が悪い。」
「…そうかも。」
「…手繋いだだけであんな嬉しそうにされると、こっちだって困ったっつの。」
「え?」
見上げた先の相島は、頭をかいて気まずそうに紗弥から目を逸らす。
「出かけるのが嫌ってわけじゃねーからな?」
「…うん。」
そんなの、紗弥にだってちゃんとわかっている。牧場で楽しそうに動物と触れ合っていたのは相島だ。それに、意外と動物に好かれる性質の持ち主であるということも新発見だった。
「普段やってくれねーこと、平気ですんじゃん、お前。」
「普段やらないこと?そんなことしたっけ…?」
「菓子、食わせてくれたり。」
「え!?あ、だってあれは相島さん、手がふさがってたし!助手席の人の仕事でしょ?」
「あんな躊躇なく出されるとは思わなかったわ!つーか普段、家ですら色々照れてやってくんねーのに。」
ドライブ中に食べようと思って買っていたポッキーを、何度か食べさせたことを言っているのだろう。確かに躊躇なく差し出した。しかし、相島だって躊躇なく食べていたではないか。
「…相島さん、普通に食べてたじゃん。」
「お前が普通に出してきたからな!」
「手だって普通に握って…。」
「食べさせるより手握る方がハードル低くね?」
「そんなこと…ない!」
そんなことはない。手を繋ぎたい、と言って『外では嫌だ。そんなことしたがる人だと思わなかった』なんてことを元カレに言われたことは一度じゃない。
紗弥の声色の変化に気付いたのか、相島はゆっくりと紗弥の身体を放す。行き場を失った紗弥の両手を、相島の大きな両手が包み込んだ。
「…なに?」
紗弥は俯いた。目線の先には相島の手に包まれた自分の手がある。
「…相島さんが、前の人たちと違いすぎて、…嬉しいことが多すぎる…。」
「はぁ?」
「手も、…そんな簡単に繋げるものじゃなかったから。」
「ほんっと、お前は男の趣味が悪い。」
「…そうかも。」
「…手繋いだだけであんな嬉しそうにされると、こっちだって困ったっつの。」
「え?」
見上げた先の相島は、頭をかいて気まずそうに紗弥から目を逸らす。



