「ごめんなさい、クラスの人よく分かんなくて……」


「神崎さん、学校来て大丈夫なの?体調が悪いって聞いてたから……」


「あ、はい……でも、みんなとは授業受けられないと言いますか……保健室に……」


「え、保健室って、どういうこと?」



あぁ、この流れ説明しなきゃいけなくなる?

いや、なりそうだから、紫藤くんに難波くんの携帯、渡しちゃおうかな。


「あの、これを難波くんに渡して欲しくて」


「これ、八雲の携帯?」


「はい、昨日ちょっとした事故で携帯を取り間違えまして。あの、難波くんに会ったら、あたしの携帯は下駄箱に入れてって伝えてもらえますか?」


「うん、それはもちろんいいけど……」


「そ、それでは失礼します!」


言い逃げをして、その場から立ち去る。


問い詰められる前に逃げる、逃げたもん勝ちだ。


そんなあたしの背中に、「ちょっと!」と、紫藤くんの声が聞こえたけど、立ち止まらずに保健室へと向かった。