「名前で呼ばせたり、気安く触らせたり……。俺の泪なのにって、思ったし」

「あっ……それは、こちらこそ不安にさせてごめんね」

「なら、今度からはお互い気をつけよーぜ」

「うん、そうだね」


あたしたちは、寄り添ったまま見つめ合う。

たった数日でも、すごく離れてたみたいに感じた。

八雲とギスギスするのは、もうたくさんだ。

少しずつ、八雲にあたしのことを話していけたらいいな。


「好きだよ、泪」

「あたしも好き、八雲」


どちらとも無く唇を寄せ合う。

離れていた時間を、心の距離を埋めるように。

この人だけは失いたくないと思った。