「あたしに無いものを……環奈ちゃんは持ってるから、羨ましくて悲しかった」

「……アンタ……っ」


なにかに耐えるように、八雲が、口元を手の甲で塞ぐ。

そして、あたしからフイッと視線を逸らした。


あっ……やっぱり重かった?

嫌われちゃったのかな……。

バクバクと、心臓が騒いで苦しくなった。


「俺を喜ばせてどうすんの、バカ泪」

「えっ……」


そう言った八雲が、あたしを優しく抱き寄せた。

えっ……八雲、どうして、突然抱きしめたの?

喜ばせるって、そんな事言ったっけ。



「そんなん、すぐにやめるよ。環奈……田崎とは高一からの付き合いだから、あの距離感に慣れすぎてた。不安にさせて悪かったな、泪」

「八雲……」

「でもな、俺も幸人と和輝に嫉妬してたんだぞ」

「え、どうして??」


八雲があたしに、嫉妬??

モテるのに、八雲でも嫉妬なんかするんだ。