「え、あ、ありがとう……」


なにそれ、どういう意味??

いや、深い意味なんて無いよね、きっと。

第一、あたしには八雲がいるんだから。


「和輝、まさか……神崎さんのこと……」

「えっと……何言ってんだよ紫藤?」


何か言いかけた紫藤くんを、誤魔化すように笑って止める中野くんにあたしは首を傾げる。


「ねぇ、2人ともどうし……」


「なぁ委員長、俺と席替わってくんない?」



不意に前が影って、あたしの視界が誰かのワイシャツの白色いっぱいになった。

頭上から聞こえた声に、あたしが顔を上げると……。



「泪の隣は、誰にも譲りたくねーの」

「や、八雲……」



そこには、不機嫌丸出しの顔であたしを見下ろす八雲がいた。

八雲、さっきまで環奈ちゃんと話してたのに……。

なんでこっちに来てくれたんだろう。


「田崎さんの隣なんて、ストレス溜まってすっごく嫌って言いたいところだけど……」


三枝さんは、ため息をついて困ったように笑う。