「美味しかった!」
月星の言う通りそんなに辛くはなくて1人でぺろっと完食してしまった。
「こんな美味しいお店知ってるなんて凄いね!」
「ま、まぁな?」
そう言って照れくさそうに笑う。
「わわわ、ちょっと待って…!」
目の前に現れたちょっと派手目な可愛いお店。
これは、これは……!
「テレビとかでよく見るアイスのお店…!
ずっと食べたいって思ってたんだ!」
見ると結構の行列。
食べたい。けどこれだけ人が並んでたら待ち時間凄いんじゃ…
申し訳なくて並ぼう!なんて到底言えない。
「すげぇ列だな…」
「そ、そうだね。
じゃあ…」
行こっかって前に振り出した手を引っ張られて、予想外のことに体がついていかなかった。
「2時間かー…
どっかのアトラクションみたいだな笑」
えええ、並んでくれるの?!
しかもそんな楽しそうに…
「実は俺もさ、ちょっと気になってたんだよな。
『神出鬼没、空前絶後のアイス…ここに現る!』すげぇキャッチコピーだなって笑
また、いつ食えるか分かんねぇし、なっ!」
私はそう言う彼の顔を見ながら
やっぱり好きだな…
と再認識した。
私に合わせてくれてるのか、本音なのかその真意は分からないけど一緒にいて楽しい。
悠子といる時とはまた別の感覚。
趣味が合って話題が尽きないっていうのじゃなくて、喋ること隣にいるだけで楽しいと思える。
こんなの今まで体験したことがない。
アイスを待つ2時間を、そんな幸せな気持ちとともに過ごした。

