お母さんの言葉に、あたしは無言になってしまった。


姉が妹をしっかり見ている。


それはいい事なのだろうけれど、あたしはバラの学校の事なんて全く知らないし、そう思うとやっぱりバラと自分を比較されているように感じられた。


「バラはね、なんだかんだ言いながらもサナギの事をとても気にしているのよ?」


「そうなのかな? 口を開けばあたしを見下すような事ばかり言っていると思うけれど」


あたしはお母さんの言葉に思わず反発してしまう。


「それも、バラなりの優しさなのよ」


お母さんはそう言い、あたしの肩をポンッとたたいた。


思春期真っ最中で反抗的な態度をとる娘に困った顔を浮かべる事もなく、いつものように穏やかな表情だ。


「そうは見えないかもしれないけれど、お母さんはバラの方が心配だわ」


「どうして?」


あたしは少し目を見開いてそう聞いた。


今までバラは優秀だといろんな人から言われてきていた。


そんなバラを心配する必要なんてどこにもないように、あたしには感じられる。


「しっかり者だと、誰も心配してくれないでしょう? 沢山の人たちの期待を背負って。1人で苦しんでるんじゃないかなって」