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実の姉であるバラと一緒に歩いていると、周囲からの視線を感じた。


その視線はどれもバラに向けられていて、「綺麗な子」とか「モデルさん?」なんて言葉が発せられているのがわかった。


あたしはバラと一緒に歩く事が居心地悪く感じられて、お店の中では自然と速足になっていた。


沢山の人がバラを見ている。


姉妹なのに、あたしではなくバラを見ている。


消えかけていた劣等感が生まれるのがわかった。


早く帰りたい。


そう思った時、カメラを持った2人の男性に声をかけられた。


「すみません、ちょっといいですか?」


そう言って呼びとめる男性に、バラが立ち止まる。


早く買い物を済ませてしまいたいのに……そう思い、イライラしながら2人の事を見た。


「今、街中の美人な方を探して『美人時計』という物を作っていたんです」


にこやかにそう説明する男性。


『美人時計』はあたしも聞いた事がある。