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克哉の部屋は想像以上に綺麗だった。


本棚もテーブルも整理されていて、まるでモデルハウスの一室のようだ。


「もう、掃除はされたんですか?」


思わずそう聞くと、母親は首をふってそれを否定した。


「無駄な物がなにもないですね……」


そう言うと、「全部捨てちゃったみたいなのよ」と、言われた。


「それはどうしてですか?」


「みんなが期待するように真面目になりたいから。そう言っていたと思うわ」


「12月頃……?」


「そう、確かそれくらいだったわね」


あたしと京介は目を見かわせた。


勉強道具とサッカーの道具だけの部屋の中、真尋が本棚の前で立ち止まった。


本棚の上には写真立てが何個か置かれていて、それのすべてが真尋と一緒に写っているものだった。


「克哉……」


真尋が写真に触れて呟いた。


その声は痛々しいほどに震えている。


なんとしてでも、なにかヒントを見つけないと……。


そう思い、あたしたちは動き出したのだった。