そんな説明を聞いても、あたしたちには到底納得できるものではなかった。


克哉が自殺をした。


その事実だけがズッシリと鉛入りの雨雲のようになって、それぞれの心の中に存在している。


数日が経過して克哉の葬儀の時もそうだった。


クラスメートたちと部活仲間たちが神妙な面持ちで焼香をする中、あたしと京介と真尋は少し離れた場所にいた。


形だけの焼香を済ませて長い列をジッと見つめる。


最近の克哉の熱心な練習ぶりを見ていた生徒たちは、みんな涙を浮かべて悔しがっていた。


サッカー部の顧問の先生は「大切な才能を失ってしまった」と、小さく呟いていた。


みんな克哉の死を痛んでいる。


克哉はみんなに愛されていた。


自殺する理由なんてどこにもなかった。


「なにかがあったんだと思う」


真尋がそう言ったのは葬儀が終わりに近づいた時だった。


ほとんどの人の焼香が終わり、もうする克哉は焼かれてしまう。


「克哉は自殺なんてしない。熱中症の後遺症があったとしても、もっと前からなにかがあったんだと思う」


「……そうだな」


京介が頷いた。


「あたしたちで、出来る限りの事を調べよう」


真尋がそう言った。


あたしはそんな真尋を見つめる。