そんな思いの中、あたしの両腕で何かが動いた。


グネグネと体をくねらさて、皮脂の下を這っているのがわかる。


その動きはいつもよりも激しく、まるで何かに興奮しているようにも感じられた。


「行こう」


京介が小さくそう言った。


あたしは京介に手を引かれ、一歩一歩ベッドへと近づいて行く。


「顔を見ても……?」


「見ない方がいいかもしれないわ」


京介の言葉に、克哉の母親がそう返事をした。


それは、自殺だったからだろうか。


どのような方法で自ら命を経ったのかわからないけれど、そうとうひどい顔をしているのかもしれない。


京介は白い布に手を伸ばしかけて、途中で止めた。


布の下から何かが這い出て来るのが見えた。


「虫……?」


京介が呟く。


あたしの腕の下でなにかが激しくうごめき始める。