「そんなの……あたしだって同じ……」


「俺も、そうだ」


克哉は頑張ればなんでも出来る人だった。


だから、怠けているのがもったいないと思った。


あたしには出来ない事を、克哉ならできるんじゃないか?


そう思うと、つい口に出して克哉を責めるような事も言った。


「あたし、克哉が倒れる前に言ったの。『今の克哉は大嫌い』って……。そしたら克哉ね、すごく驚いた顔をして『どうして? これが皆が望んだ克哉の姿だろう?』って……。まるで、自分は克哉じゃない。みたいな言い方だった……」


それってどういう事なんだろう?


確かに最近の克哉は克哉じゃないような感じはしていたけれど……。


そう思った時、突然部屋の出入りが激しくなった。


バタバタと慌ただしく駆け巡る医師や看護師たち。


「どうしたんですか!?」


京介が医師の1人を引きとめてそう聞いた。


「君たちは?」


「菊谷克哉の友達です」


「そうか……中に入りたまえ」


医師に促されて中へ入ると、そこには何人もの緊急を要する患者さんたちで埋まっていた。