「克哉はいつから練習してたんだ?」


「たぶん……部活が終わってすぐに公園に行って、それからずっと……」


真尋の答えにあたしと京介は目を見開いた。


今は夜の12時を回ったところだ。


「今まで、ずっと?」


「……そうみたい」


真尋の目には更に大粒の涙が浮かんでいた。


「どうして、そんな……」


「克哉の両親も必死で練習をやめるように言ってくれたの。でも、克哉は全然聞いてくれなくて……あの時、克哉の両親に頼まれて一緒に説得したんだけど、全然ダメで……」


そして、克哉はみんなが見ている目の前で倒れたのだそうだ。


あたしは信じられない気持で白いドアを見つめた。


克哉がそこまでして練習にこだわる理由って、一体なんなんだろう。


「どうしてあたしは克哉に練習しろとか、真面目になってとか、言っちゃったんだろう」


真尋が苦痛を顔に表してそう言った。


「真尋……」


「ただ、サッカーをしている克哉が好きだった。そのままの克哉を好きになって告白した。それなのに……いつの間にか克哉に何かを求めて、無条件のまま愛する事を忘れてた……!!」


真尋はそう言い、その場にずるずるとしゃがみ込んでしまった。