「克哉の事なんだけど」


そう言うと、京介は途端に真面目な表情になった。


克哉が倒れたことはもちろん京介も知っている。


そしてそれがサッカーの練習が原因だと言う事も。


「京介も、克哉にサッカーを真面目にやれとか、言ったことあったよね?」


「あぁ……あった」


「あたしも、克哉にそう言う風に言ったことがある」


「それが、どうかしたのか?」


「昨日、真尋の家に克哉を呼んだの。それで、どうして最近急に生活態度が変わったのか聞いてみたの。そしたら……みんなが望んだからだって……」


あたしは灰色の床へ視線を落としてそう言った。


「はぁ? それだけかよ?」


京介は混乱した声を上げる。


「うん。それだけで、克哉は倒れるまで練習をしてたんだって」


「おかしいだろ、そんなの」


「そう。あたしも真尋も、克哉に影響を与えている特別な人がいるって思ってたんだけど、そうじゃなかった……。今まであたしたちが言ってきたことが、克哉を変えたの」