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次の授業が始まる前。


あたしは体操着姿のまま男子更衣室の前にいた。


着替えもしていない女子がこんな所にいると大いに目立ってしまい、クラスメートたちが不思議そうな視線を送って来る。


その時だった。


京介が更衣室から出て来るのが見えた。


「京介!」


あたしは咄嗟にその腕を掴んで引き止めた。


「サナギ?」


京介は目を丸くしてあたしを見る。


そんな京介を引っ張るようにして、あたしは人気のない体育倉庫へと移動した。


着替えをして教室に戻るだけで休憩時間の半分は使ってしまう。


まだ着替えをしていないあたしは、ほぼ遅刻が確定していた。


「どうしたんだよ」


「ごめん……聞かれたくない話があって……」


走って移動したため少し息が切れている。


あたしは深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。