「なにぼーっとしてんの」


その声に振り返るとつの間に花バラが帰ってきていた。


あたしは帰ってからずっとリビングでぼんやりとしていた事に気が付いた。


「ちょっと、考えごと」


「早く着替えて、洗濯物でもとりこんできて」


バラにそう言われ、あたしは少しいらつきながらも素直にソファから立ち上がった。


ここ数日でバラがあたしの事をちゃんと心配してくれているのだと理解できて、あたしたちの関係も変わりつつある。


家事を手伝わなければいけないというのは、最もな意見だ。


しかし、自分の部屋の前まで来た時あたしは立ち止まった。


ドアに手をかけようとするが、何かが部屋の中へ入るのを拒絶しているのがわかった。


自然と、右腕に視線が向く。


今日はあまりかゆみを感じない。


でも、部屋に入るとまたかゆみが出てくるかもしれない。


朝起きて血まみれになっていたベッドを思い出して、身震いをした。


結局あたしはスクールバッグを部屋の前に起き、そのままベランダへ向かって洗濯物を取り込んだ。


「どうしたの?」


そのままリビングへ戻るとバラが怪訝そうな表情を浮かべてあたしを見た。