「大好きな杏さんへ。

杏さんがこの手紙を受け取れたということは、まだ運命の人と会えていないということですね。
 まったく杏さん!ちゃんと幸せになってってお願いしたのに。」

 何よ…。エルったら。

「でもこの手紙を書いてるエルだってそれを望んでいたんでしょ?なんて言わないでください。
 だってそんなの天使失格だもの。」

 フフッと笑うとエルったら既に色々と失格だったじゃない。
 と天使としてポンコツだったエルを思い出す。

 でも…。私には素敵な天使だったわ。杏は懐かしく思って続きを読み進める。

「杏さんは怒るだろうけど、夜中によく杏さんの寝顔を見てたことあるんですよ。」

「な…。」

 思わず声が出て赤面すると急いで次を読み進めた。

「すっごく可愛くて食べちゃいたかったなぁ。」

 な、何これ…。オオカミ発言?いや…これは小学生発言よね…。

「頬をぷにぷにすると「もうやめてよ…エル。くすぐったいじゃない。」って言うんですよ。可愛くて仕方なかったなぁ。」

 知らなかった…。小悪魔だとは思っていたけど…。どこが天使よ。いたずらばっかり。

「こんなことしてたのバレたら怒られちゃうかな。バチンッてされちゃうかな。
 でも…。」

 続きを読んで「私もよ」と悲しく微笑んだ。

「どんなに痛くてもつらくても何があっても杏さんの側にいたい。智哉ガブリエル」