遥希の顔が、涙でぼんやりして見えた。 ぼんやりしているけど、はっきり分かった。 その綺麗な顔の左側が腫れ上がり、血が流れている。 それでも遥希は誠を見て、静かに言った。 「気が済むまで殴ればいい。 でも俺は、美咲を離さない」 あたしの後ろで、誠が息を飲むのが分かった。 そんな誠を見ることが出来なかった。 あたしはただ遥希にしがみつき、涙を流していた。