そのキスで、忘れさせて







どさっと荷物を放り投げ、テーブルの上を見る遥希。

そこには、あたしが腕によりをかけて作った……地味な和食が並んでいた。

肉じゃがに、鯖の味噌煮に、お吸い物。

やりすぎた……

家庭の味を意識して、地味にしすぎた!

せめてハンバーグかロールキャベツくらいにしておくべきだった。




そう思ったのに、



「料理、上手いんだな」



遥希は言ってくれる。

その言葉がすごく嬉しい。

そして照れ隠しに、あたしは遥希に聞いていた。




「今日、Fと仕事一緒だったの?」