あまりさんののっぴきならない事情

「いえいえ。
 なにかこう、叱られそうな音がしたものですから」
と言うと、

「……着信音で叱られそうとかわかるのか」
と訊いてくる。

「わかるんですよ、なんとなく。
 あー、なんか急いでる感じの電話だなー、とか」

 ところで、なんで、此処がわかったんですか? と訊くと、
「何処にでも俺の密偵は居る」
と言われ、思わず、周囲を見渡してしまう。

 ソファの後ろに隠れていた寺坂と目が合うと、慌てて手を振り出した。

「寺坂じゃない」
と海里が言う。

「そいつは俺に黙ってた裏切り者だ」

 より一層、顔面蒼白になった寺坂が、声も出ないのか、無言で更に大きく手を振ってきた。

「……新人の歓迎会なら、俺も呼んでもいいと思わないか?
 お前ら室長にも声かけたろ」

 しかも、無関係な成田まで来てるのに、と言う。

 だが、その成田に、
「お前、ストーカーな上に、スパイまで使ってるのか」
と言われた海里は、

「莫迦。
 情報の出所はお前だ」
と言い返していた。