あまりさんののっぴきならない事情

「こっ、これっ、シャンパン入ってるんですけどっ」

 この私の酒が呑めんのか、という調子で、結局、そそがれ、支社長夫人って、こんな立場低いのか、と思っていると、寺坂が、
「南条様、スマホが鳴っております」
と言ってくる。

 あ、はい、と鞄から出すと、見知らぬ番号からかかってきていた。

「あれ? 誰だろ?」
とテーブルに置いて、ぼうっと見ていると、寺坂が、

「……その番号、支社長です」
と言ってきた。

「あまり。
 海里に、番号教えてるのかっ」
と成田が口を挟んでくる。

「いや、そんなはずは……」
とぼんやり答えると、

「あら、雇用主なんだから、知ってるに決まってるじゃないの」
と秋月が言う。

「個人情報、だだ漏れじゃないですか」

 会社が悪く言われては、と思ったのか、ファミ子が、
「いや、だから、雇用主なんで……」
と一生懸命、弁解を始めた。

「何の用なんでしょう」
とあまりは、出ないまま、その画面を見つめる。

「結婚してくださいとか?」
と笑って秋月が言ってきた。