あまりさんののっぴきならない事情

 そして、私は呼び捨てですか。

 あだ名もつけてはいただけないのですね、と思っていると、寺坂が秋月怖さにか、余計なことを言い出した。

「し、支社長に殺されますっ」

 ……寺坂さん、と思っていると、酔っているかと思っていた秋月が冷静に言ってきた。

「そうか、やはりな」

 なんですか。
 その探偵のような口調は。

「あまりは、支社長の愛人か?」

「支社長は独身ですよ」
と寺坂が言う。

「っていうか、あまりさん、愛人ってガラではないです。

 そういうのは、もっと色っぽい人では……

 あ、すみません」

 ……支社長と結婚しておけばよかったな。

 そしたら、今、支社長夫人の権限で、こいつをクビにするのに、と思っていた。

「寺坂さん、実は秘書に向いてないのでは?」

 なにペラペラしゃべってるんですか、と思いながら言うと、寺坂は、
「そうなんです」
と刑事、……探偵か? のような秋月に肩を抱かれたまま、俯き、告白し始める。