あまりさんののっぴきならない事情

「あのあと、また支社長に珈琲持ってったんですけど。
 美味いの不味いの、うるさかったです」
と言うと、笑っていた。

「あ、成田さん。
 今日、秘書室の方が、歓迎会やってくださるそうなんですけど。

 ぜひ、成田さんもって言ってました」

「え? なんで?」

「……手伝いに来られたからじゃないんですか?」
と曖昧に笑って誤摩化したが、本当のところ、秋月が、

『イケメンを愛でながら呑みたい』
と言い出したからだ。

 寺坂さんではご不満なのだろうか。

 ちょいと凶悪なご面相ではあるし、ゴツいが、イケメンには違いない。

『じゃあ、支社長を呼んだらいいじゃないですか』

 ちょっと偉そげなところが鼻につくが、あれほどのイケメンはなかなか見ないが、と思って言うと、みんな、フルフルと首を振る。

 緊張して困るから、と言うのだ。