あまりさんののっぴきならない事情

 そのとき、ちょうど外を通りかかった寺坂を秋月が手招きする。

 はあ、と寺坂がやってきた。

「今日、南条さんの都合が良ければ、歓迎会やろうと思うんだけど」

 いや、私の都合確認せずに、もう話進んでますよねーと思っていると、
「貴方も来るわよね」
と寺坂は言われていた。

 寺坂さんも妻が、とか言って断るのかな、と思っていると、
「はあ、そうですね。
 まあ、時間によっては」
というような曖昧なことを言ってきた。

 そういえば、指輪もしてないし、独身なのかな? と思っていると、秋月が、
「来るわよね?」
と繰り返す。

 はあ、とまた、仕事のときからは想像もつかない、曖昧な返事を寺坂も繰り返す。

 なんか、此処の力関係見えたな、と思って、眺めていた。