二時前になり、あまりはもう一度、海里にお茶を出してから帰ることになった。
「これからカフェ? 偉いわね」
と秋月に言われる。
「カフェ何時まで?」
「五時半までです」
と言うと、
「じゃあ、今日、呑みに行かない?」
と誘われた。
「貴女の歓迎会やりましょうよ。
ねえ」
と秋月が見ると、桜田が、コクコクと頷く。
「室長、どうされますか?」
室長? ともう一度秋月が呼びかけると、室長は、
「いやあ、私は遠慮しますよ。
家内が夕食作って待ってるので」
と言った。
……喋った、と思ってしまった。
いや、黙々と仕事はされているのだが、置物のようなおじいさんだと思っていたから。
あとで聞いたことだが、実は、室長は昔は、社長秘書をされていて。
もう退職していたのを海里が支社長になるときの手助けとして、わざわざ社長に呼び戻されたのだということだった。



