あまりさんののっぴきならない事情

 




「お疲れ様ですー」
とあまりは秘書室に戻った。

「お帰り」
とお弁当を食べていた秋月が顔を上げる。

「完売だって?
 買いに行く前に終わっちゃったわよ」
と言われ、

「すみません。
 今日はちょっと前倒しに売ってしまって。

 なんでしたら、明日の分、ご予約お受けしますよ」
と言うと、

「そうね。
 お願いしようかな。

 でも、順調でよかったじゃない」
と言われる。

 横で、ファミちゃんこと、桜田も頷いていた。

「いや、まだわかりませんよ。
 二、三日は物珍しさで売れるでしょうけどね。

 成田さんだって、今日は最初だから少し残ってもらいましたけど、店の方があるので、そう長くは引っ張れませんしね」

 そう真剣に呟くと、
「……あんた、此処に二号店出しそうな勢いね」
と言われてしまう。

「いいじゃない。
 あの二枚目の店員さんとやらが居なくても、男性社員が、美人のカフェ店員が珈琲淹れてくれるって、こぞって行ってたみたいじゃないの」

 そう言い、秋月はこちらを見て笑った。