あまりさんののっぴきならない事情

 だが、あまりはその言葉を無視し、残りのパンを並べながら、廊下の掛け時計を見る。

「あ、成田さん、もう戻った方がいいですよね?
 皆さん、成田さんからパンが買えるのは、あと五分ですっ」

「そして、僕より、商売熱心だよね……」
と成田はポットから珈琲をそそぎながら呟いていた。