「次が問題の総務本部です」
総務、人事、経理が入ってます、と寺坂は言う。
問題のってなに? と思いながら、一緒に階段を下り、ついていくと、こちらはワンフロアが全部つながっていて、総務本部になっているようだった。
本部長の北村のところに連れていかれ、挨拶をする。
この人の方が支社長では? と思う貫禄のある男だった。
「ああ、貴女が南条さんですか。
私もよく行くんですよ、あそこのカフェ」
と北村は、にこやかに応対してくれる。
此処では、大勢居る社員に、いちいち紹介されはしなかったが、出入りのときに目が合った人には一応頭を下げておいた。
なんだ、あの子? という目で、みんな見ている。
廊下に出て、寺坂が、
「まあ、わざわざ紹介はしなくても、お昼にはわかるでしょうから」
と言ってきた。
そうだ。
お昼には、カフェの商品を販売しなくちゃだった、と時計を確認する。
そろそろ成田が搬入に来る頃だ。



