寺坂に連れられ、あまりは秘書室に入った。
おお、小綺麗な秘書室だ、と辺りを見回す。
この支社の建物自体が新しいので、何処もかしこもピカピカな感じだった。
支社というだけあって、そんなに秘書の人員も居ない。
というか、本来、もう少し少なめなのではないかと思うが、やはり、今は支社長でも、海里は社長の息子。
扱いも仕事量も違うのではないかと思った。
「二週間程、この秘書室で働いてもらいます。
南条あまりさんです」
寺坂がそう紹介してくれる。
二人の女性が頭を下げた。
ひとりは年配の女性で、ひとりは若くおとなしい感じだった。
寺坂が小声で言ってくる。
「……秘書室の方は、あらかじめ話してあるので。
ああ、カフェから派遣されたということだけですよ」
室長と女性らに頭を下げ、あまりは秘書室を出た。



