「楽しかったですね、旅行」
帰りの新幹線であまりはご機嫌だったが、桜田はちょっと機嫌が悪かった。
「せっかく一緒の部屋にしてやったのになあ」
と頭の上から、秋月が言ってくる。
振り返ると、秋月は、自分と海里の座る座席の背もたれの上で頬杖をつき、斜め前の寺坂と桜田を見ていた。
桜田は窓の外を黙って見ていて、寺坂は、桜田のご機嫌を取っている。
「支社長。
寺坂さん、ひっくり返って寝ちゃって、朝までそのまんまだったらしいですよ」
「そういや、あいつ、酒弱かったな……。
それで観光してる間も、桜田、機嫌が悪かったのか」
と海里が呟く。
そうだったのか。
二人でお酒呑んでるときは、いい雰囲気だったのにな、と思いながら、
「そうですよねー。
せっかく二人で泊まったんだから、もうちょっと、ゆっくり語り合ったりしたかったですよねー、きっと」
と桜田たちの方を見ながら呟いて、秋月と海里に同時に、
「莫迦なのか」
と言われてしまった。



