「うそうそ。
 でも、もし、海里がその気で、貴女が本当は、海里をそう嫌ってないのなら、よろしくね」
と言い出した。

 本当は、という言葉に、どきりとしていた。

 でもあの、向こうは、その気もなんの気もないと思うんですが、と思っていると、話し終えたらしい海里がこちらを振り向き、
「時間切れだ。
 大崎、今、そこにある服、全部包め」
と言ってきた。

「もうっ。
 着てみるのが楽しいのに。

 ねえっ?」
とまた言われ、こくこくと頷く。

「はいはい、お坊っちゃま。
 なんだったら、この店ごと買い取ってくださいねー」
と言いながら、大崎は、今着せようと思っていたらしい服を手に、カウンターへと戻っていった。