あまりさんののっぴきならない事情

 



 夕食も終わり、それぞれ土産物を見に行ったりして、三々五々散っていった。

 海里もあまりと土産物を見ていたが、そのうち、一緒に見ていた秋月夫婦が部屋に引き上げたので、自分たちも少し遅れて戻ることにした。

「お前、夕食のとき、後半、ほとんど室長の奥さんの話聞いてたな」
とあまりに言うと、

「はい。
 昔のお話とか、お料理のお話とか、いろいろためになって、興味深かったです」
とあまりは笑う。

 結構、同じ話が繰り返されていたようだったのだが、あまりは嫌な顔ひとつせず、頷いて聞いていた。

 部屋のある棟に渡るあの赤い太鼓橋の近くまで来たとき、
「海里さん、海里さん」
とあまりが手を握ってきた。

「桜田さんと、寺坂さんです」

 見ると、桜田と寺坂がラウンジで、ライトアップされた庭を見ながら、二人並んで呑んでいる。