うっ、と思っていると、海里がスマホでなにかをチェックしながら言ってきた。

「うちの会社にセクシーとかいらないぞ」

「そうだけど。
 この子、海里の秘書にするんじゃないの?」

 海里は顔を上げ、
「なんで、秘書だとセクシーが必要なんだ?」
と訊いている。

「秘書って、おじさんの膝に乗って、羊羹とか食べさせる人かと思ってた」

 自分と似た発想だな……とあまりは思う。

 あっけらかんと言う大崎に、海里は呆れ、
「おじさんじゃなくて、俺の秘書だ。
 というか、秘書室勤務は合ってるが、そいつにはお茶を淹れさせるだけだぞ。

 こんな一滴も色気のないような奴にそんなこと要求しない」
と言っていた。

 こんな一滴も色気のないような奴ではない秘書の方にはなにか要求されているのでしょうか……と思いながら、見ていたが、海里はまた、スマホに目を落としてしまう。

「はいはい、うるさいから、早く決めましょ。
 これとこれとこれを着て」
と大崎は、何枚か服を手に取り、あまりに試着室に入るように言ってくる。