あまりさんののっぴきならない事情

 




 帰り際に、秋月に言われた回覧を回しに行こうと階段を下りていたあまりは、草野に出くわした。

「あら、あんた、まだ居たの」
と言ってくる。

 それは嫌味なんですか……?

 特に意味はないんですか……?

 おそらく深い意味はなく、この時間なのにまだ居たの、と言いたかったのだろうが、草野が言うと、あんた、この会社にまだ居たの、と聞こえてくる。

 ある意味、損な人だな、と思っていると、草野は唐突に、
「あんた見てて思ったんだけど。
 あんまり意識しないのがいいのかしらね。

 追えば追う程逃げてく気がするわ、イケメンって」
と言い出す。

「あんたの周り、自然とイケメンが集まってきてる気がするのよ」
と言われ、

 はあ。
 特に興味ないからじゃないですかね、と思った。

 イケメン様も向かい合っていて、緊張されると格好つけなきゃいけないと思って疲れるんじゃないでしょうか、と思う。