あまりさんののっぴきならない事情

「よし、綺麗になったぞ」
と言った海里はこちらを振り向き、

「じゃあ、一緒に入るか」
と言ってきた。

「ええっ。
 恥ずかしいから嫌ですよーっ」
とわめいたが、海里は、

「なんでだ」
と真顔で訊いてくる。

 なんでだってなんでだ、と思いながら、
「だって、見られるのって、恥ずかしいじゃないですか」
と膝を抱え、赤くなって言うと、

「でももう、一回見たからな」
と海里は情緒もなく言ってくる。

 いや、それはそうなんですが……。

 何度目だって、見られるのは嫌ですよ、と思っていると、
「そうだ。
 見られるのが嫌なら、お前、目隠ししろよ」
と言ってきた。

「あのー、それは逆ではないですか?」
と言うと、

「いや、お前、俺に見られるのが嫌なんだろ?
 お前を見ている俺を見なきゃ、見られてるってわかんないじゃないか」
と無茶を言い出す。

 いやいやいや、ちょっと待て。