いや、最高だ。
あまりたちはソファの前、ラグの上に腰を下ろし、ローテーブルで食事をしていた。
気のきくことに、海里は、小洒落たテイクアウトのデザートも百貨店で買ってきてくれていて。
なかなかいい夕食となった。
家で、くつろいで美味しいものが食べられるというのが、またいい。
酔っても家だし、そのまま寝ちゃえば……と思ったとき、
はっ。
海里さんが居ましたね、とようやく警戒することを思い出す。
「おい。
何故、急に防犯ブザーをつかむ」
目敏くこちらの動きを見て言ってくる海里に、
「いえ……そこにあったので」
と言うと、
「貸せ」
と取り上げられた。
海里は、
「電池抜いといてやる……」
と言いかけ、
「いや、やっぱり、鞄には入れとけ。
俺以外の奴に襲われそうになったら、すぐに鳴らせよ」
と言ってきた。
いや、まず、『俺』のところで鳴らしたいのですが。
これ以上の不祥事はご遠慮したい、と願いながらも、またワインを口にする。
口当たりが良く、美味しかったからだ。



