あまりさんののっぴきならない事情

「面白いのよ、海里」
と大崎は言ってくる。

「貴方と出会ってから、日々、のたうち廻ってるの。
 あの、しれっと冷めてた男が」

 くくく、とほんとに可笑しそうに笑っていた。

「あいつ、今まで人が恋愛で苦しんでても、口では同情するようなことを言いながら、さっさと次に行けばいいのにくらいにしか思ってなかったのよ。

 なのに、我が身に降りかかったら、てんで情けないじゃないのー」

 ……実に楽しそうだ。

 困った友だちだな、と思う。

 友だち……

 友だちなのかな?

 ご親戚?

「あのー、大崎さんは、海里さんのご親戚なんですか?」
と訊くと、

「海里、なんて言ってたの?」
と訊き返された。

「いえ、海里さんはなにも。
 ただ、大崎さんってお名前は、海里さんのお姉さんの名字と同じだと伺ったものですから」

 そう言うと、大崎は笑い出す。