あまりさんののっぴきならない事情

　呼んだ男は苦笑いしながら、
「すみません。
　モーニングね。

　たまごサンドとアイスコーヒーで」
と頼んでいた。

「あ、はい」
と注文を取り、そのまま行こうとしたあまりに、男は、

「ねえ」
と声をかけていた。

「はい？」
と振り向いたあまりに、なにか言いかけ、

「いや、いいや。
　あ、シロップとかいらないから」
と言う。

　はい、と頷くあまりを男は見送っていた。

　なんだ？　あの男。

　あまりはそのままマスターのところに行き、注文を伝えていた。

　ふと気づけば、成田も別のテーブルでオーダーを聞きながら、チラとその男の方を見ている。

　やはり、男のあまりに対する態度が気になったのだろう。

　つい、もう知らぬ顔でスマホを見ている男をなんとなくチェックしていると、いきなりそれを遮るように、自分の前に誰かが立った。

　あまりだった。