あまりさんののっぴきならない事情

 それにしても、背中に海里さんの視線を感じる気がするのだが、気のせいだろうか。

 ただの自意識過剰だろうかな。

 ああ、こっち見てないといいんだけど、緊張するから。

 いや、でも、まるきり他所を向かれてても悲しいな、とぐるぐる考えながら、他のテーブルのオーダーを取り、戻ってくると、

「はい、犬塚くんの珈琲」
と渡された。

 はい、と自動的に受け取り、海里の方を振り向く。